Project Storyプロジェクトストーリー

PROJECT02 / パーキングシステム事業部

機械式駐車設備操作アプリ「Spasa®」の
初号機導入プロジェクト

2022年10月、新明和工業はエレベータ方式駐車設備「エレパーク®」のサポートアプリ「Spasa®」(スパサ)をリリース。AI画像認識技術でナンバープレートを読み取り、指定のパレットを自動で呼び出したり、アプリの画面にユーザーが車両ナンバーを入力するだけで利用予定の駐車設備に車が入るかどうかを判定したりする機能で、駐車設備に新たな体験価値を生み出します。画期的なプロダクトの「最初の顧客」をどのように獲得し、納入へと導いたのか。その足跡をたどります。

納入事例
https://www.shinmaywa.co.jp/products/parking/news/20220915-01.html
Member

パーキングシステム事業部
製造部門
建設技術部 西部営業技術グループ

T.Y.

当時入社35年目

本プロジェクトにおける役割
営業が受注した物件の仕様決定および納入

営業部門
関西グループ

O.H.

当時入社17年目

本プロジェクトにおける役割
営業業務
  • ※記事の記載内容は、インタビュー取材時点のものとなります。

01プロジェクトのはじまり

新製品に対して必ず聞かれる「導入実績は?」の質問

  • ― Spasa®の導入先の獲得をどのように進めたのでしょうか。
  • O.H.

    当社のエレベータ方式駐車設備はマンションに多く導入されています。従来は、外出時、駐車設備の前にある操作盤を操作して自分の車が載っているパレットを呼び出していました。この操作盤をエントランスや各部屋に設置したシステムもあるのですが、「Spasa®」はスマートフォンから簡単に呼び出せる点に加え、マンションの駐車設備に導入できる点においても画期的であり、その特別感や優位性を打ち出して販売を展開していました。

  • T.Y.

    今のところ、Spasa®のシステムは既設の駐車設備に後から組み込むことができないため、現状は新規建設が対象。つまり、お客様には新築マンションの計画段階で導入するかどうかを決めていただくことになります。

  • O.H.

    新しい製品に対して、お客様は必ず「導入実績はありますか?」「不具合が出た場合にはどうしますか?」と質問されます。何十億円もの費用を投資して建設されるので、その不安も当然です。また、Spasa®はスマートフォンで操作するため、機器の不具合だけでなくユーザーの誤操作への対応も細かく聞かれました。これらの不安の芽を事前に摘み取り、説得材料を準備するために多くの労力を要しました。

  • T.Y.

    当社の宝塚工場には機械式駐車設備の試験棟がありますので、お客様に来ていただいて実際の操作を体験してもらう機会も設けました。頭でイメージできても、実際に操作してみないと判断できないことも多いためです。販売に向けてさまざまな準備に追われた営業は大変だったと思います。

02課題への取り組み

初受注の喜びと、失敗が許されないプレッシャー

  • ― 最初のお客様は、どのようにして導入を決めてくれたのでしょうか。
  • O.H.

    近年は住宅設備もDXでどんどん進化しています。その状況に対して「駐車設備だけ旧来のままでは消費者に選んでもらえなくなるかもしれません。駐車設備も住宅設備の延長線上で考えて最新のシステムを採用すれば、マンションの強い『売り』としてPRできるはずです」と提案を続け、採用していただけることになりました。

  • T.Y.

    やはり「スマートフォンで操作できる」というのは大きいですね。世の中への普及率などを考えると、非常に大きな付加価値を感じていただけたと思います。その結果として初受注をいただけたことは喜ばしいことですが、同時に「初号機を不具合なく納品しなければならない」というプレッシャーもありました。

  • O.H.

    そうですね。マンション建設にはデベロッパーや設計事務所、建設会社、管理会社など複数の会社が関わるため、情報共有は非常に大切でした。最初の事例ということもあり、丁寧に資料を作り込んだり説明に奔走したりして、円滑に施工が進むよう努めました。また入居者の方に誤った操作説明をしないよう、Q&Aなどのマニュアル整備にも力を入れました。

  • T.Y.

    技術担当としては、付帯機器の配置や各機器をつなぐ配線ルートなど最適なシステムを構築するためのゼネコンや電気工事業者との調整に苦労しました。駐車設備の配置はマンションのレイアウトによって異なるため、入庫車と出庫車の進行方向などに応じてナンバープレートの読み取り機の位置を細かく調整する必要があります。また電線の経路は建物全体の工事に影響するため、事前に協力会社との入念な情報共有が不可欠です。これらの作業をマンションの建設スケジュールに合わせて進める必要があったのです。

03乗り越えた瞬間

数々の「想定外」をクリアし、スムーズな納入を実現

  • ― 初号機は大きなトラブルなく納入できたのでしょうか。
  • T.Y.

    もちろん、初めてのミッションなので想定外の問題はいくつかありました。例えば、現場の進行中に電気工事を担当していた会社から「電線の長さが足りない」と連絡がありました。原因は建物の配線ルートが複雑であったため、当初の想定以上の距離となってしまい手配していた電線の長さが不足したためです。既に建物はコンクリートで仕上がっており「さすがにコンクリートを砕いて配線経路を変えるわけにはいかない!」と大あわてで電線を手配しましたが、かなりヒヤヒヤしましたね。

  • O.H.

    事前に問題となりそうなことは全部洗い出したつもりでも、後から想定外の制約が出てくることは多々あります。急な仕様変更が起こることもあり、情報共有や連携に際して、部門間で認識のずれが生じることもありました。

  • T.Y.

    電線不足のようなヒヤリとするトラブルはありましたが、事前の入念な準備や、他部署・施工会社との連携のおかげで、コンクリートを砕くような大きな手戻りは防ぐことができました。そうしたピンチをチームワークで乗り切った結果、初号機としてはスムーズに無事納入できたと思います。「失敗できない」というプレッシャーを抱えながら始まったプロジェクトだったので、終わったときは安堵の気持ちでいっぱいでしたね。

  • O.H.

    お客様にとっても初めて導入する機能なので、例えば「入居者様が出庫予約をした後にキャンセルする場合はどんなフローになるのか?」といった疑問が後からどんどん出てきます。そのため、さまざまなケースを想定して回避策を提案し、結果的にお客様と一緒に仕様を作り上げた達成感がありました。そして、無事に最初の納入実績ができたことで、営業としてはその後の販売活動がしやすくなりました。この初受注をいただいたのは有名なデベロッパーさんなので、その後の営業先でも良い反応をいただけるようになりましたね。

04ミッションコンプリート

「売り手と買い手」から価値の「共創パートナー」へ

  • ― このプロジェクトで得られたものや、Spasa®の今後の展望について教えてください。
  • O.H.

    まず、Spasa®自体の開発において、アプリ開発を手がけるスタートアップとの協業を経験しました。従来の自前主義や「ハードを作って売って終わり」というビジネスモデルから転換を図るうえで、外部との連携によってソフトビジネスの可能性が生まれたことには大きな意義があります。エンドユーザーのニーズは刻々と変化するため、Spasa®の機能や操作性も、それに合わせて柔軟にアップデートしていく必要があるでしょう。その積み重ねが信頼を生み、お客様との長期的な関係構築につながっていくと考えます。

  • T.Y.

    今回は新設する駐車設備への導入でしたが、例えば据え付ける付帯機器を無線でつなぐことができれば配線が不要になり、既存の駐車設備に後付けすることも可能になると考えます。さまざまな形で付加価値を提供する可能性が生まれたので、その実現に向けて開発を続け、安全でスマートな駐車設備を目指すことでより良い社会への手助けができればと思います。

  • O.H.

    納入までの過程で感じたのですが、お客様との関係が単なる「売り手と買い手」から、共に新しい価値をつくり上げる「パートナー」へと深まったと思います。今後も、より長く、密に付き合い続けるお客様が増えていくと思いますが、その分、世の中の流れに合った製品を的確に出していかないと生き残るのは厳しくなると感じています。

  • T.Y.

    駐車設備は「車」に付随する設備なので、自動車そのもののサイズやスペックなどのトレンド、また、購入手段や所有方法の多様化など、車を取り巻く環境に当社の製品も適応していく必要があります。そこに技術者として貢献し、機械式駐車設備製品を通して新明和ブランドを世界に広げていきたいですね。